Ota Noriaki
学生時代の研究内容
脊椎動物における肝臓の起源・進化の研究
私は、「生物のかたちの不思議」に興味があります。私たち生物が持ついろいろな「かたち」には様々な意味や理由があります。そしてその色々な「かたち」は、生物が進化していく中で変化していきました。私は、この「かたち」が、なぜ誕生したのか、そしてなぜ変化したのかについて生物学的意味や発生メカニズムを解き明かしていきたいと考えて日々研究をしています。
現在私が研究材料としている肝臓は、脊椎動物が共通にもつ生存に必須な代謝器官です。その機能は非常に多様かつ複雑であり、500種類以上の化学反応を行うことから「生体の化学工場」と例えられたり、高い再生能力をもつことでも有名な臓器です。
しかし、その「肝臓」が、どのような起源を経て、そしてどのような進化を辿って形成されたのか、まだ私たちはわかっていません。
肝臓は、我々哺乳類の場合は教科書に載っているような肝小葉をベースとした構造をとっているのですが、他の脊椎動物がどの様な構造をとっているのか、またこの哺乳類の構造が脊椎動物の系統発生の中で、いつどのように形成されていったのか、そしてさらには肝臓という臓器そのものが誕生したその起源について「かたち」に注目した解剖学的、組織学的に迫っていく研究を行っています。
現在は発生進化学的(Evo-Devo)な視点や、網羅的な遺伝子発現比較解析なども積極的に取り入れた研究も進めており、肝臓の起源の解明に向けて尽力しています。
研究内容歴
2018 - 2021.3 静岡大学 創造科学技術大学院 自然科学系教育部 バイオサイエンス専攻 博士課程
「肝臓に見られる様々な形質の起源と進化」
・肝臓内の平滑筋発達部位の進化(完了)(Submit:Ota et al 2020)
・胆管発生メカニズムの進化発生学的解析(進行中)
・哺乳類の肝小葉に見られるZonationの起源(進行中)
・脊椎動物の胆道系の比較(進行中)
・肝臓の起源解明に向けた、原始的な脊椎動物の肝臓における遺伝子発現解析(進行中)
・哺乳類の肝発生における門脈周囲特異的因子の同定(進行中)
2014 - 2018 静岡大学 大学院 総合科学技術研究科 生物科学専攻 修士課程
「脊椎動物の肝臓進化に関する比較形態学及び分子系統解析」
・進化学的に哺乳類と比較した真骨魚類ゼブラフィッシュの肝臓(完了)(unpublished)
・脊椎動物におけるJag/Notchシグナルの分子進化とゲノム進化(完了)(unpublished)
・スナヤツメの変態に伴う、肝臓の遺伝子発現の変化(進行中)
2012 - 2016 静岡大学 生物科学科
「脊椎動物における胆管走行の多様性とその制御機構の分子基盤の解明」
・脊椎動物における胆管配向の進化(完了) (Shiojiri, Kametani and Ota et al. 2018)